ホルンを吹くって簡単〜上達する心と身体の使い方のヒント〜

日々の練習でホルンが上達する身体と心の使い方を発信していきます。

音楽は相手の時間をいかに奪えるかが完璧よりも大切なこと。

 

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最近のコロナの影響でライブ配信を見る機会があり、そこである配信者さんが言っていたことがとても大きな学びになったのでシェアしたいと思います。

 「魅力的な人と一緒にいるときは過ごしている時間があっという間に感じますよね。」

これって音楽も同じことが言えると思うんです。 

 【目次】

 

 

 

ミスしたかどうかで良し悪しを判断していた

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  • 楽譜に書かれた音を完璧に当てること。
  • 本番で緊張せず演奏ができること。

 以前、僕はこんな基準で練習をしていました。

しかし失敗しないことを目的に楽器を吹いてしまうとどこか演奏が機械的で、身体も固くなり、息も楽器に入らなくなってしまうんです。

 楽器の練習で音を外さないことを目的に練習してしまう人は多いと思います。確かに本番で音を外すよりは外さないほうがいいに決まっています。

ですが、そもそも音楽は聞いている側からすると、ミスしないことよりも聞いていて心地よいかとか、心が動かされたなどの魅力があるかどうかを一番気にしているはずですよね。

 

魅力的な演奏とは?

 自分も本当に感動した演奏や音楽に出会ったときは、それこそ何度も繰り返し聞いてしまうし、たとえミスがあっても気にならないくらい感動する演奏を聞くと音楽を聞いている時間があっという間に感じてしまいます。

 つまり、人が本当に感動するような魅力ある演奏は相手の時間をいい意味で奪っている演奏なのです。

 

 

ミスのない完璧な演奏=つまらない演奏。

自分が高校生の頃、夏のホルン合宿に参加したことがありました。

そこでは海外講師としてベルリンフィルシュテファン・ドールが来日されて音大生やアマチュアの方々にレッスンをするところを見学したことがありました。

そこで一番印象深かったことなのですが、ミスなど全くないと言っていいほどとても素晴らしかった演奏だったはずなのに最初にレッスンを受ける方の演奏が終わった直後、ドールの第一声が

「なんだかつまらない。聞いていて眠くなるよ。」だったのです。

 

 確かに 本番でミスのない演奏ができればとても気分が良いでしょう。

しかし、どんなに完璧に演奏したつもりでも聞いている人がなんだかつまらない演奏だなと思ってしまったらあまり意味がありません。

 相手の心は自分でコントロールできる範囲ではありませんが音を外したくない=本当に自分が表現したいことを忘れるときでもあると思うんです。

 

「この演奏で自分の演奏を聞いている人が素敵!って思ってもらえる?」

音大の頃ホルンのレッスンを受ける度に先生から口酸っぱくこの言葉を何度も言われました。

先生から言われた直後は、「ホントその通りだな。自分はまだまだだな。」と思っているのだけど、ひとりで練習していると音を外さないように練習したり、レッスンで先生に注意されないようにみたいな考えで練習していました。

ただそうなってしまった理由はどこかで失敗のない演奏を目指していたからだったのだと思います。

完璧を目指すより、自分からこうしたい!っていう欲求を大切にして、練習していく方が練習していても音楽的な表現をしやすいし、聞いている相手にも何かを伝えられるような演奏になっていく気がしています。 

 

  • 音を外さずに吹けたかどうか。
  • 本番で緊張せずに演奏できたかどうか。

 

という基準で判断するのではなく

 

  •  自分の表現したいことが表現できているか。
  • 自分の演奏を聞いてあっという間に時間が過ぎていくか、もしくはもう一度聞きたいと思えるか。

 という基準で練習していくとより音楽的な表現ができると思います。

それでは。